感染予防と同時に「生活不活発病」の予防を!

犬と

新型コロナウイルス感染症
第2波への懸念高まる

東京都は7月4日、新型コロナウイルスの新規感染者が131人報告されたと発表しました。
これで4日連続して、緊急事態宣言解除後の最多を更新したことになります。

国内でも、新たな感染者が274人に上り、緊急事態宣言解除後の最多を更新しています。
また、1日当たりの新規感染者が200人を超えるのは2日連続で、100人超えは7日連続。
今後も増える可能性があり、第2波への懸念が高まっています。

新規感染者の内訳を見ると、都内では連日、新宿や池袋などの、いわゆる「夜の繁華街」を中心に、ホストクラブやキャバクラなど、接待を伴う飲食店等の従業員が多く、年代としては20~30代の若者層が8割を占めています。

東京近郊の埼玉県や神奈川県、千葉県などでも、若者を中心に「東京由来」と呼ばれる新規感染者が出始めており、新型コロナウイルス対策を担当する西村康稔経済再生担当相が思わず口にした「嫌な感じ」が続いています。

「新しい生活様式」と「生活不活発病」

こうした事態に、いわゆる「シニア世代」の方々は、「自分は夜の街には出掛けないから」とか「若者の話だろう」などと、とかく他人事と考えがちではないでしょうか。

しかし油断は禁物です。
若者たちにも当然家族がいますし、職場へ通勤もしますから、家庭内感染のリスクもあれば、職場ではクラスター(感染者集団)も実際に起きています。

自分自身を、そして大切な身内を守るためにも、これまで以上に、マスクの着用、こまめな手洗い、3密(密閉・密集・密接)を避ける、といった「新しい生活様式」として奨励されている基本的な感染対策の徹底が必要です。

同時に、感染予防を重視すればするほど家に閉じこもりがちになりますから、「動かないこと」がもたらす「生活不活発病」による健康への影響が心配されます。

ということで、今日はこの「生活不活発病」について、チェックリストによる早期発見と予防・改善のためにできることを中心に書いてみたいと思います。

生活不活発病は予防できるし
一度起きても自ら回復させられる

生活不活発病とは、文字どおり「生活が不活発」になること、つまり「動かない」状態が続くことが原因で、全身のあらゆる機能が低下する病気です。

「動かない」生活を続けていると、歩いたり、立ち上がったり、日常生活のさまざまな動作がやりにくくなったり、疲れやすくなったりしてきます。

刺激が少ない生活になりがちですから、頭の働きが鈍くなるようなこともあるでしょうし、気持ちが晴れない日も続きます。

このような状態になってくると、動くこと自体がどうしても億劫になりがちです。
そのまま「動かない」状態を続けていると、フレイル(心身の虚弱状態)、さらに人の手を借りないと「動けなくなる」要介護状態へと進むことにもなりかねません。

幸い生活不活発病は、予防できます。
また、いったん起きても工夫次第で自ら回復させることができます。

そのためには、不活発な生活になっていることに早く気づき、一日も早く日々の暮らし全体を活発にしていくことが大切です。

その第一歩として、厚生労働省が作成し、公表している「生活不活発病チェックリスト」*¹を活用して、セルフチェックしてみることをおすすめします。

「生活不活発チェックリスト」で
生活不活発病を早期発見する

「生活不活発チェックリスト」は、東日本大震災の際に、避難所での不活発な生活による不活発病を予防するために作成されたものです。

そのため「地震前」と「現在」の活動状況を比較するようになっています。
今回は、「地震前」を「自粛生活を始める前」に直し、以下の項目ごとに、自粛生活を始める前と現在とに分けてそれぞれチェックしてみてください。

  1. 屋外を歩くこと
  2. 自宅内を歩くこと
  3. 身の回りの行為(入浴、洗面、トイレ、食事など)
  4. 車いすの使用
  5. 外出の回数
  6. 日中どのくらい体を動かしていますか

チェックし終えて、「自粛生活に入る前」より「現在」が1段階でも低下しているようなら、生活全体が不活発で、このままの状態が続くと生活不活発病に進んでしまうと判断して、「生活を活発にする」取組みを始めてください。

作業療法士が提案する
自宅でできる生活不活発病予防

生活を活発にする取組みは、運動に限りません。
生活の中でできることを続けて、なるべく動くことです。

そのための啓発資料は各種紹介されていますが*、ここでは東京都作業療法士会が作成した、
「お家でできる生活不活発病の予防 ~ひとは作業をすることで健康になれる~ 」*²
をおすすめしたいと思います。

「作業療法士」とは、理学療法士と並ぶリハビリテーションの専門家(いずれも国家資格)としてご存知のことと思います。ただ、その専門性は大きく異なります。

理学療法士は「起き上がる」とか「歩く」といった体の大きな動き、いわゆる運動機能を回復させるために体の動作訓練を行うスペシャリストです。

一方の作業療法士は、「食事をする」とか「顔を洗う」「字を書く」といった私たちが日々営んでいる生活行為をスムーズに行ううえで不可欠な手の動作や指の細かい動作の訓練を行うスペシャリストです。

作業療法士のこのような専門性から、紹介する資料では、
⑴ 普段何気なく行っている家事も一工夫で、脳や筋肉をより使った活動になること
⑵ ラジオ体操を生活に取り入れること
⑶ 子どもと一緒に昔遊びをすること
⑷ 笑うことで、呼吸能力や発声能力が高まり、気持ちが晴れること
といったように、身近な生活の中で無理なく実践できる生活不活発病予防の活動がさまざま紹介されています。ぜひチェックしてみてください。

*厚生労働省は生活不活発病予防の観点から、①高知県高知市の「いきいき百歳体操」、②茨城県立健康プラザの「シルバーリハビリ体操チャンネル」、③新潟県理学療法士協会の「生活不活発に負けるな!ー一日ちょっとずつ体操」など、全国各地の体操動画やリーフレットをWEB上で紹介している*³。

また、こちらの記事では東京都健康長寿医療センター研究所と慶応大学理工学部の共同研究チームが開発した高齢者向け「健康づくりアプリ」を紹介している。
→ 新しい生活様式とフレイル予防の両立にアプリを