新型肺炎について高齢者が知っておきたいこと




発熱

中国では大型連休前のこの時期に
新型コロナウイルス肺炎が多発

中国中部の湖北省武漢市で発症が相次ぎ、死者も出ている新型コロナウイルスによる肺炎患者が、日本でも確認されたことが報じられています。

この知らせに、この先感染がさらに拡大して、2002年に中国広東省で発生し、8000人を超える患者と775人の死者が出たサーズ(SARS;重症急性呼吸器症候群)のような事態になることを懸念する声があがっています。

折しも中国は、1月24日から春節と呼ばれる旧正月の大型連休に入ります。
毎年この時期には、延べにして30憶人と言われる民族大移動が起き、日本を訪れる中国人旅行者もかなりの数にのぼっています。

おそらく今年も、例年どおり全国いたるところで観光やショッピングにいそしむ中国人旅行者の姿を見かけたり、実際に接する機会も多くなるでしょう。

この新型肺炎は、咳やくしゃみを介して、人から人へ飛沫(ひまつ)感染するリスクはかなり低いものの、完全にゼロとは言い切れないとされています。

それだけに、長年の持病があるなど、免疫力、つまり「疫(やまい)を免れる力」が低下した状態にありがちな高齢者は、過度に恐れる必要はないものの、それなりの心構えと万全の予防策が欠かせないでしょう。
今回は、そのポイントを書いてみたいと思います。

日本で確認された感染者は
濃厚接触による感染の可能性が

日本国内で新型コロナウイルスの感染が初めて確認された神奈川県在住、中国国籍の男性(30歳代)は、昨年末から今年にかけて滞在していた武漢市にある実家で、同じく新型肺炎の父親と一緒に生活していたことがわかっています。

男性がその父親から感染を受けたとしたら、人から人に感染するということではないか、とどうしても考えてしまいます。

しかしこの男性の場合は、
①新型肺炎を発症している患者の世話をした
⓶患者と同じ場所(空間)に滞在(同居もしくは訪問)した
③肺炎の発症から2週間以内の患者、または発熱などがある患者と2m以内で接した
といった「濃厚接触」により、父親から感染を受けた可能性が高いと考えられています。

しかしながら、発症間もない時期で高熱や強い咳や激しいくしゃみなどが続いている患者と、上記①から③のような濃厚接触がなければ、この新型コロナウイルスは、人から人へ感染が拡大するリスクは低い、と考えられています。

こうした点を踏まえて厚生労働省は、この新型コロナウイルスの感染力や病原性(感染して病気を引き起こす力)は低く、感染が拡大するリスクは「極めて低い」として、「患者と同居する家族を除けば、過度に恐れる必要はない」と説明。
1月17日には、国民向けに次のようなメッセージを公表しています*¹。

国民の皆様へのメッセージ
○新型コロナウイルス関連肺炎に関するWHOや国立感染症研究所のリスク評価によると、現時点では本感染症は、家族間などの限定的な人から人への感染の可能性が否定できない事例が報告されているものの、持続的な人から人への感染の明らかな証拠はありません。
風邪やインフルエンザが多い時期であることを踏まえて、咳エチケット(咳やくしゃみをする際にマスク、ハンカチなどで口や鼻を抑えて、飛沫が広がるのを防ぐこと)や手洗い等、通常の感染対策を行うことが重要です。
○武漢市から帰国・入国される方は、咳や発熱等の症状がある場合には、マスクを着用するなどし、事前に医療機関に連絡した上で、受診していただきますよう御協力をよろしくお願いします。
また、医療機関の受診に際しては、武漢市滞在歴があることを事前に申し出てください。

持病や低栄養状態がある高齢者は
感染しやすく、重症化しやすい

厚生労働省からの上記メッセージでは、「(中国)武漢市から帰国・入国される方」としていますが、1月21日の時点で、新型コロナウイルスによる肺炎に関する中国当局の発表では、武漢市での発症者は計198人で死者4人ですが、北京、上海、深圳(しんせん)などでも感染者や感染の疑いのある患者が確認されていて、中国国内の患者数は219人まで増えています。

また、空路で韓国に到着した武漢市に住む30歳代の中国国籍の女性の感染が確認され、タイでも2人確認されたことが発表されています。

幸いなことに日本でも韓国でも、またタイにおいても、帰国後に同居した家族や滞在先で患者に接触した人、また患者の治療やケアに携わった医療関係者の間で、現時点では、二次感染は確認されていないようです。

しかし、潜伏期間などがはっきりしていないことや、今回のコロナウイルスの分子構造が、人から人への飛沫感染が起こりやすかったSARSによく似ていることを指摘している研究者もいて、神経質になる必要はなさそうですが、油断はできません。

特に、慢性呼吸器疾患や慢性腎疾患、糖尿病などの基礎疾患(持病)があるとか、がんなどで入院中だったり通院中の方、あるいは食欲がない、歯や口腔内にトラブルがあり食事を食べにくい、嚥下障害があるなどにより低栄養状態にある方は、感染を受けやすく、罹患した場合は重症化しやすいことを念頭に、手洗いの励行や人込みを避けるなど予防策の徹底が重要です。

この場合の手洗いは、石けんを用いて洗った後、溜めた水ではなく流水でよく洗い流すことが大切です。ピュレル ゴージョー [指定医薬部外品]のようなアルコール手指消毒薬よる擦式(さっしき)、つまり適量の消毒薬を手にとって皮膚によく擦り込む方法で手指を消毒する方法もおすすめです。

腸内環境を整える食事により
免疫力の維持・アップを

加えて、歳を重ねるにつれて低下しがちな免疫力を高めるためには、栄養バランスのよい食事を摂ることや適度に体を動かして新陳代謝を活性化させること、ストレスを上手に発散させること、十分な休養をとることなども日々心がけたいものです。

とりわけ食事の面では、「腸内環境を整える」食事の工夫が必要でしょう。
なにしろ私たちの腸管には、身体全体の免疫細胞のおよそ70%が集まっています。

腸内にある免疫細胞の一つひとつが本来の働きを存分に発揮できるように腸内環境を健康に保つことができれば、免疫力の維持・アップにつながるというわけです。
早い話が、便通を良くしておくことです。

ヨーグルトや納豆、鰹節(かつおぶし)、塩分控えめの糠漬け、チーズ類といった発酵食品をはじめとして、ヒジキや豆類、切り干し大根、海苔など食物繊維を多く含む食品、オリゴ糖を多く含む玉ねぎやアスパラガス、手軽なところではバナナなど、腸内環境を改善して免疫力を高めてくれる食品を、いつもより多めに摂ることをおすすめします。

ヨーグルトが苦手な方は、先に紹介した「ゆずちゃんゼリー」がおすすめです。

高齢者には男女の別なく便秘に悩む人が多い。薬に頼らず便通を図る手軽な対策として、ヨーグルトによる腸内環境の改善がすすめられるが、高齢者には「ヨーグルトは苦手」な人が多い。そんな方に、最近研究開発により商品化された「ゆずちゃんゼリー」を紹介する。

参考資料*¹:厚生労働省「中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎について(第5報)」