「見えにくさ」の改善にロービジョンケアを

拡大鏡

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「見えにくさ」を感じたら
ロービジョンケアを

病気やケガなどにより「見えにくさ」を感じている方は、日常生活の中でさまざまな不自由さを感じておられると思います。なにしろ私たちが日々手にしている情報の、なんと80%は、目を通して入ってきているわけですから。

「見えにくさ」、いわゆる「ロービジョン」にもいろいろあります。そのなかで圧倒的に多いのは、失明しているわけではないものの、眼鏡やコンタクトレンズなどで矯正しても視力が落ちていて「見えにくい」方でしょう。

加えて、「見える範囲(視野)が狭くて歩きにくい」「まぶしさを強く感じる」、逆に「とても暗く感じる」「一つのものが二つに見える」、また「色を区別しにくい」などという方もいるでしょう。

いずれも外見からはその不自由さがわかりにくいことが多く、サポートが必要な状況にあっても、「周囲の人にはなかなか気づいてもらえない」つらさがあります。

そこで、ロービジョンによる不自由さを少しでも軽減して、できるだけ快適な生活を送ってもらおうと、さまざまな支援、いわゆる「ロービジョンケア」が用意されています。

各種用意されている視覚補助具

日本眼科医会のサイトによれば、わが国ではロービジョンケアとして、白杖(はくじょう)を使って単独で歩行できるようにする訓練などの医療的ケアから始まり、コミュニケーション訓練などの教育的ケア、就労支援などの職業的ケア、さらには社会的・福祉的・心理的ケアと、広範囲の支援が用意されています。

これらのうち、今回はロービジョンの方のために用意されている視覚補助具等の生活便利グッズ、および支援制度について、その利用方法を中心に紹介したいと思います。

視覚障害による
身体障害者手帳の取得を

ロービジョン(視覚障害)に限りませんが、身体障害者福祉法で規定されている程度の障害がある方は、申請すれば身体障害者手帳(通称「身障者手帳」)の交付を受けられます。

国や自治体(都道府県や市区町村)が用意している各種の公的福祉サービスを利用するには、その多くが、この手帳を取得していることが条件となります。

したがって、まずはあなたの見えにくさ、つまり視覚障害が身障者手帳交付の基準を満たしているかどうかを主治医に相談し、基準を満たしていたら「医学的診断書」を発行してもらい、お住まいの市区町村役場などに提出して申請手続きをすることになります。

ちなみに身体障害者福祉法では、視覚障害による身障者手帳交付の基準は、障害(見えにくさ)の度合いが最も軽い「6級」で、視力のよい方の眼の視力が0.3以上0.6以下、悪い方の眼の視力が0.02以下となっています。

視覚障害の度合いが最も重い「1級」から「5級」までの、各等級の認定基準についてはこちらをチェックしてみてください。また、身障者手帳の申請方法等、具体的なことはこちらをご覧ください。

国や自治体の福祉サービスの利用には身体障害者手帳の取得が条件になっているものが少なくない。ところで、この手帳を取得できるのはどのような障害を抱えている人なのか、この手帳を所持しているとどんなサービスを受けることができるのか、まとめてみた。

身障者手帳の交付を受けると
利用できるサービス

ロービジョン、つまり視覚障害により身障者手帳の交付を受けると、次のような公的福祉サービスを利用することができます。

ただサービスによっては、所得や年齢、障害の程度(等級)などによる制限があります。また、サービス内容は自治体により異なりますから、詳細は、お住まいの自治体の福祉課や社会福祉課に問い合わせてください。

  1. 市区町村による医療費助成制度(保険診療の一部負担金が軽減される)
  2. 交通機関の割引、福祉タクシー利用券の交付
  3. 税金の控除(障害者控除により所得税と住民税が軽減される)
  4. 視覚補助具購入費の支給
  5. 日常生活を送るうえで便利な「生活便利グッズ」の給付(振動や音声で時刻を知らせる音声時計、白米とのコントラストがはっきりしていて食べ残し防止につながる内側が黒いお茶碗、大きな文字で印刷された本など)
  6. 支援員(ガイドヘルパー)による通院や買い物への同行援護

ロービジョンケアとしての視覚補助具

上記サービスのうち「4」の視覚補助具には次のようなものがあり、身障者手帳があれば、多くの自治体で198,000円を上限に、購入費の補助(給付)を受けることができます。

  • 拡大鏡(ルーペ):新聞などの文字を見やすくする。卓上式もあれば手持ち式も。また、拡大倍率もさまざま用意されている。
  • 拡大読書器:読みたい本や新聞などをスキャナーなどで読み取り、その映像をテレビやパソコン画面に大きく映し出して読むことができる。
  • 遮光眼鏡:まぶしくてものが見えにくい方で、普通のサングラスでは明るすぎたり暗すぎたりする方のための眼鏡。
  • 単眼鏡:携帯できる小型の望遠鏡で、遠くのスライドや黒板の文字、景色などを見ることができる。

なお、私たちの生活にはもはや必需品として定着しているパソコンやタブレット、スマートフォンなどの電子機器は、1台で「文字の拡大縮小」「文字の白黒反転」「文章の読み上げ」ができますから、視覚補助器としてすでに活用されている方も多いのではないでしょうか。

ロービジョンケアを受けられる
医療機関のリスト

ロービジョンケアは眼科ならどこでも受けられるというわけではありません。

あなたの見えにくさに合った視覚補助具の選定や使用訓練などのロービジョンケアを行っている施設については、医療機関名、所在地、電話番号、対応可能なケアなどをまとめた全国のリストが日本眼科医会のサイトにあります。

その「備考欄」にあるように、施設により受診の条件や対応可能なケアが異なります。まずはかかりつけ眼科医に相談し、了解が得られたら電話で問い合わせてみてください。

「足元が見えにくくてつまずきやすい」ために歩行訓練を希望する方や点字訓練を受けたい方などは、その際に相談してみるといいでしょう。

眼鏡型拡大鏡の使用はご注意を

なお、ロービジョンでお困りの方の中には眼鏡型拡大鏡、つまり眼鏡のように着用して使える拡大鏡(ルーペ)を愛用されている方が少なくないと思います。

しかし、この拡大鏡を老眼鏡代わりに使用していて、階段を踏み外したり、歩いていて物にぶつかって転倒したり、といった事故が発生しており、国民生活センターが使用上の注意喚起を行っています。こちらを参考に、くれぐれもご注意ください。

眼鏡を着用するように、目にかけて使える拡大鏡、いわゆる「眼鏡型拡大鏡」が、両手を自由に使えるからと人気だが、老眼鏡代わりに使うなど、誤った使い方によりトラブルが起きるケースが少なくないようだ。国民生活センターによる最近の注意喚起と正しい使用法を紹介する。
読書好きだったのにロービジョンになり本を読めなくなったとお困りの方もいらっしゃるでしょう。そんな方にはA5版に18~20Qの大活字で日本の名作小説を収録した「デカ文字文庫」シリーズをお勧めします。ラインアップはまだ少ないのですが、『こころ前編 (デカ文字文庫)』や『銀河鉄道の夜 (デカ文字文庫)』、『走れメロス (デカ文字文庫)』などがあります。

参考資料*¹:厚生労働省 「身体障害者障害程度等級表」

参考資料*²:日本眼科医会 「ロービジョンケア施設一覧