マスクの長時間着用が誘発するドライアイ

マスク ドライアイ

マスクの着用が
ドライアイの原因に!?

感染対策としてマスクを外せない生活が続いて、間もなく2年が過ぎようとしています。

長時間に及ぶマスクの着用は、さまざまなトラブルを誘発しています。

最も多いのは、マスクによる摩擦(スレ)やマスクで覆われた部分の「ムレ」が原因で起こる吹き出物や肌のベタつきといった肌荒れでしょうか。

加えて最近では、「マスクドライアイ」という言葉も生まれるほど、長時間のマスク着用で「ドライアイ」になる人が増えているという話を頻繁に見聞きするようになりました。

コロナ対策としてマスクをするようになってから「目がゴロゴロする」「目が乾いた感じがする」「目が疲れやすい」といった症状はないでしょうか。

このような症状が一つでもある方は、マスクドライアイを疑ってみる必要がありそうです。

ドライアイは、ときに角膜(黒目部分)を傷つけて、目に深刻な影響を与えます。

その辺りの話とドライアイの兆候、セルフチェックの方法、予防法や症状を悪化させないためにできることなどをまとめておきたいと思います。

マスクから漏れる自分の息が
目の水分を奪いドライアイに

ドライアイとは、目の表面を潤している涙の分泌が少なかったり、量は十分でも涙の質が低下して目の表面に涙が均等に行き渡らなくなっている状態です。

「ドライアイは涙の病気」と言われるゆえんです。

涙の分泌量の減少や質の低下といったことは、加齢現象として誰にも起こり得るものです。

そのためドライアイは高齢者に多い疾患の一つとして知られているのですが、最近は、加齢現象だけでは説明できない世代にもドライアイに悩む人が増えています。

その原因の一つは、仕事でパソコンやタブレット端末などのディスプレイを使う、いわゆるVDT作業を長時間続けている人や、趣味などでスマートフォンが手放せなくなっているような人が増えていることにあるようです。

また、季節を問わず稼働しているエアコンにより室内が乾燥しがちなこと、さらにはコンタクトレンズ、特にソフトタイプのコンタクトレンズの装用者が増えていることもドライアイ患者の増加に影響しているようです。

そこに新たに加わったのが、コロナ禍による「マスクの長時間着用」が誘発する「マスクドライアイ」と呼ばれる現象です。

メガネをかけてマスクをしているとメガネが曇ってくることがあるように、マスクの上部から漏れる自分の吐く息(呼気)が呼吸をするたびに目にあたり、目の水分を奪い、乾燥させることがマスクドライアイの原因と聞きます。

「ドライアイチェック」で
セルフチェックを

ドライアイに関する研究を進める約500人の専門医でつくる「ドライアイ研究会」は、一般向けに「ドライアイチェックリスト」を作成して、会のホームページ*¹で公開しています。

該当する症状を順次チェックしていき、14項目あるうちの5項目以上にチェックが入るようならドライアイの可能性があると判断し、早めに眼科を受診するようすすめています。

なお、近くにあるドライアイを見てもらえる専門の病院やクリニックを知りたいという方は、ドライアイ研究会の会員クリニック一覧*²が参考になります。

こんな症状はありませんか?
―ドライアイチェックー

□ 目が疲れる
□ 目が重たい感じがする
□ 目がゴロゴロする
□ 目が乾いた感じがする
□ 目に不快感がある
□ 目がヒリヒリ痛い
□ 目が赤くなりやすい
□ 目がかゆい
□ 朝、目が開けにくい
□ 光をまぶしく感じやすい
□ 白っぽい目ヤニが出る
□ なんとなくみえずらい
□ 時々かすんで見える
□ 最近少し視力が低下したようだ

(引用元:「ドライアイ研究会」ホームページ*¹)

ドライアイで角膜が傷つき
視力が低下することも

ドライアイが「涙の病気」と言われるように、そもそも涙には脂分(あぶらぶん)やムチン(粘液)が含まれていて、目の表面を潤して保護すると同時に、角膜や結膜(白目部分)の細胞に栄養分を送り届けるという非常に重要な役割があります。

ドライアイによりこの涙の量が少なくなったり、涙の質が低下してくると、目の表面が傷つきやすくなります。

この状態をそのままにしていると、角膜や結膜が炎症を起こしたり傷つくリスクがあります。

特に、水晶体とともにレンズの役割をしている角膜が傷つくと、「文字がぼやけて見える」「目が乾いてショボショボする」「目がかすむ」「痛みを感じる」といった症状が現れ、やがて「視力が低下する」こともあるようです。

まばたきの回数を増やして
ドライアイの予防・症状改善を

ドライアイを予防、あるいは症状を悪化させないためには、まずは「まばたきの回数を意識して増やす」ことによって、目の表面、特に角膜の表面を涙で潤してあげることです。

この場合のまばたきの方法ですが、からぶりまばたきにならないように、下まぶたと上まぶたが完全にピタッとつくまでしっかり閉じるのがコツです。

このケア方法なら、マスクを着用したままでもできるでしょう。

パソコンやタブレット端末、スマートフォンといった情報機器のディスプレイを眺める作業をしているときやテレビを鑑賞しているときは、1時間に10分ほどディスプレイから目を離し、目に休息の時間を与えてあげることも大切です。

この10分間には、軽く目を閉じたり、窓の外に目を向けて遠くを眺めるなどして目をリフレッシュさせるといいでしょう。

あるいは、蒸しタオル*や市販のホットアイマスクなどを使って目の周辺を温めるのも効果的です。

ただ、「目が痛い・かゆい・赤い」といった炎症を疑わせる症状があるときは、温めることによって炎症を悪化させる可能性がありますから、眼科医の診察を受けて問題ないことを確認してから温めることをおすすめします。

室内が乾燥しているようなら加湿器を置くのもいいでしょうし、エアコンの風か直接顔にあたらないように、風向きを調整することも必要でしょう。

*蒸しタオルの作り方 水で濡らし絞ったタオルをラップで包み500Wのレンジで約1分間温める。温めた直後のタオルは高温になっているので、レンジから取り出すときは暑さを確かめながら少しずつ触るようにしてヤケドに注意する。
タオルをお湯に浸してから絞ってもいい。

ドライアイ用の目薬は
防腐剤を含まないタイプを

目の表面を潤す目的で目薬を伝いたくなるところですが、この目薬にも注意が必要です。

ドライアイで受診するとよく処方さるのが、防腐剤を含まない人工涙液タイプの目薬です。

一方、処方箋なしで購入できる市販の「ドライアイ用」目薬の多くには、目薬の品質を長期間保つために防腐剤(「塩化ベンザルコニウム」という成分がよく使われている)が含まれています。

この防腐剤自体に害はないのですが、ドライアイで角膜が傷ついているときにこの防腐剤入り目薬をさすと、防腐剤が刺激となって症状を悪化させることがあるそうです。

目薬を購入するときは、目薬の箱に書かれている、あるいは同封されている説明書にある注意書きを確認することもお忘れなく。

あるいは、やはり一度眼科を受診して処方してもらうほうが安心・安全ですし、処方箋があれば健康保険が使えて費用が自己負担分(2~3割)だけですみ安上がりです。

なお、コンタクトレンズをしている方は、目薬をさすときはコンタクトレンズを外すべきかどうか迷いますよね。答えはこちらを。

コンタクトレンズにはソフト、ハード、酸素透過性ハードの3種類がある。コンタクトをしたまま点眼できるのはハードだが、その他のタイプは、防腐剤なしの人工涙液以外の目薬なら、レンズを外してから点眼しているだろうか。また、確実に点眼するには1回1滴を「げんこつ法」で。

引用・参考資料:ドライアイ研究会「ドライアイチェック」

参考資料*²:ドライアイ研究会会員クリニック一覧