頻尿が気になったら「排尿日誌」をつけてみる

トイレ

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1日の排尿回数が8回以上なら
頻尿が疑われます

「トイレが近い」とか「尿の回数が多すぎる」ことを、私たちは「頻尿(ひんにょう)」と呼んでいますが、日本泌尿器科学会は、「一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます」と説明しています*¹。

頻尿の多くは、「トイレが近いため外出を控えるようになった」「大事な会議の途中でトイレが気になって話に集中できない」といったかたちで、日々の生活に支障をもたらすことが多々あります。ただ、頻尿が生命の危機に直結する心配はまずないことから、頻尿が気になっていても、病院を受診する方は少ないようです。

しかし頻尿のなかには、たとえば「不完全尿閉(にょうへい)」といって、排尿しても膀胱内に溜っている尿をスッキリ出し切れないために、またすぐにトイレに行きたくなるというタイプがあります。この場合は、出し切れずに膀胱内に残った尿が腎臓に影響を及ぼし、腎機能が徐々に低下していき、そのまま放置していると深刻な事態に陥ることがあります。

受診する前に「排尿日誌」をつけてみる

頻尿のすべてにこのようなリスクがあるわけではありませんが、頻尿の状況に応じて生活習慣を変えたり、薬を使って尿を出やすくするなど、病気として治療すれば症状を改善できることは多々あるようです。ですから、やはり一度は医師に相談してみてはいかがでしょうか。

そして受診する前には、ご自分の頻尿の実態を医師に正確に知ってもらうためにも、「排尿日誌」をつけてみることをお勧めしたいと思います。

なお、受診先としては、専門性から言えば泌尿器科(ひにょうきか)ですが、かかりつけ医のいる方は、まずはその医師に相談したらいいと思います。

まずは1日の排尿頻度と
その時々の尿量を記録してみる

「排尿日誌」とは、1日の「排尿の頻度」とその時々の「尿量」から排尿状態を把握することを目的に、1日に排尿した時刻と排尿量を記録する日誌です。

ネット検索してみると、ダウンロードできる「排尿日誌」がいくつも紹介されています。そのなかには、排尿状態の記録と同時に1日の水分の摂取状況も、水分を摂取した時刻と摂取量の記録を求めているものがあります。どちらのタイプの日誌を選択すべきか迷うところです。

しかし、排尿状態と水分摂取状況の両方を観察して記録するのは、初めてこの日誌をつける方は少々負担に思われるでしょう。そこで、まずは排尿状態を正確に記録し、その記録を受診時に持参して医師に見てもらったうえで、水分摂取量のチェックも必要と医師が判断すれば、改めて排尿状態と水分摂取状況を記録する日誌をつけることにしてはいかがでしょうか。

日本排尿機能学会の
「排尿日誌」のつけ方

排尿状態に限って記録する日誌としては、日本排尿機能学会が公式ホームページで紹介している「排尿日誌」*²があります。

ダウンロードしてみるとおわかりのように、この日誌は、トイレに行った「時間(時刻)」と「排尿」の有無、そのとき排尿があれば「尿量」、さらには「漏れ(もれ)」の有無について、起床時から翌朝起床時までの1日分を1枚に記載できるようにつくられています。

このうち「排尿」と「漏れ」については、あれば「〇印」を、「尿量」は「ml」単位で記載するようになっています。また、高齢者に多い「夜間頻尿」の状態を把握するために必要な「起床時間」と「就寝時間(床に就いた時間)」を明記することも求めています。

この排尿日誌のつけ方のポイントを整理すると次のようになります。

  1. 尿量の測定法
    ・トイレで排尿した時に尿の量を測定する
    ・男性の尿量の測定には、500mlほどの市販の取っ手付き計量カップで50ml間隔の目盛り付きのものを使用する(100円ショップでも購入できる)
    ・女性の場合は、計量カップで採尿しにくいようなら、洋式トイレの便座と便器の間に挟んで使う「ユーリパン」と呼ばれる採尿尿器(目盛り付きのもの)を使用すれば坐って採尿できる
    ・排便時に便と一緒に出た尿の量は、「多量」「中等量」「少量」と大まかに記録し、備考欄(空欄部分)に「便と一緒に出た」と記しておく
  2. 尿漏れの記載法
    ・尿漏れがあった場合は、「漏れ」の欄に〇印をつけることに加え、備考欄に漏れた時の状況や理由を記載しておけば医師の診療に役立つ
    ・漏れた時の状況や理由としては、「せきやくしゃみをしたら漏れた」「トイレに行ったが間に合わなかった」「いつのまにか漏れていた」など
    ・「排尿後症状」といって、排尿し終えて下着をつけてから尿が漏れたり、尿が残っている感じがする(残尿感)ようであれば、その旨を備考欄に記載しておく
    ・尿採りパッドやおむつに漏れがあったときは、その旨を備考欄に記載しておく
    ・その際、できれば尿漏れの量(g)を測定し、記録しておくといい(尿漏れ後のパッド・おむつの重さ-使用前のパッド・おむつの重さ=尿量)
  3. 排尿日誌の記録期間
    ・仕事との兼ね合いを考え、まずは休日に1日記録してみる
    ・夜間、排尿のために何度も起きるなど、「夜間頻尿」が疑われる場合の診断に役立つ夜間尿量を測定するには、週末を利用して最低でも2日間は連続して記録する

排尿日誌アプリの活用も

最近は、各種スマホ用の排尿日誌アプリもあります。ダウンロードすると、上記の排尿日誌同様に、排尿した時刻と尿量はもちろん、尿漏れの有無や症状などもメモ欄に簡単に記録することができます。スマホを使い慣れている方は、活用するといいでしょう。

夜間頻尿で悩んでいる方へ

なお、こちらの記事では、夜間のトイレ回数が増えて悩んでいる方向けに改善策を提案しています。是非参考にしてみてください。

トイレで目が覚める回数が多くて熟睡できないと悩む男女は少なくない。何らかの病気が影響している場合を除き、日中に下半身、特にふくらはぎにたまった水分、いわゆる「むくみ」が、原因のことが少なくない。弾性ストッキングや下肢の挙上などの改善策を。

参考資料*¹:日本泌尿器科学会公式ホームページ「尿が近い、尿の回数が多い ~ 頻尿 ~ 」

参考資料*²:日本排尿機能学会公式ホームページ「排尿日誌」