できることを大事にして極力自力の生活を!!

お年寄り

自らの老いを受け入れ
「極力自力」の生き方を!!

つい先日、いつものバス停で「まだ10分ほどある……」と焦る気持ちを抑えながらバスの到着を待っていると、列の後ろの方からこんなやり取りが聞こえてきました。

「このところよくつまづくようになって、昨日なんか危うく転ぶところだった。歩き慣れた道なのに……、歳はとりたくないわよね」

「私もね、立ち続けていたり、歩いたりすると足の付け根が痛むから、出掛けるのが億劫で、最近は家で寝転んでばかりいる……」

さりげなく振り返ってみると、声の主はお二人とも70歳を優に過ぎたと思しき女性です。

60、70と歳を重ねていくと、昨日まで難なくできていたことが今日はスムーズにできない、といったことは誰もが経験することです。でも、そのできなくなったことを嘆いていても気持ちは暗くなるばかりです。

国民のおよそ5人に1人が75歳以上の後期高齢者という、まさに超高齢社会に突入した今、加齢とともに体力や気力が衰え、日常生活に何らかの助けが必要な方が増え続けています。一方で、医療や介護領域における人手不足は深刻度を増しています。

そこで、これからの高齢者には、自らの老いを受け入れ、今できることを大事にして、「極力自力(きょくりょくじりき)」、つまり可能な限り自立した自分らしい生活を送ることができるようにサポートしたい、と立ち上がった専門家集団の取り組みがあります。今回はその紹介をしておきたいと思います。

メッセンジャーナースによる
「極力自力」の生き方への支援

その取り組みは、全国のメッセンジャーナースが、2024年5月から新たな活動として始動している「介護予防懸け橋ネット”極力自力”」です。

全国のメッセンジャーナースで編成する「介護予防看護特化チーム」が、誰かの助けが必要になったときに介護保険のサービスを利用する利用しないにかかわらず、「自分が持っている力を精一杯発揮して、最期のときまで極力自力で過ごしたい」という思いを持つ方たちと共に歩んでいこうという活動です。

会員制で運用するネットワークで、以下3つの会員で構成されています。

  • ロゴ会員:「介護予防看護特化チーム」が規定している、5項目からなる「極力自力の趣旨」に賛同し、その意思表示をされる方(一律4,000円+振込代)
  • A会員:(助けが必要になったときは)介護保険のサービスは利用しないが、「介護予防看護特化チーム」のメンバー(最寄りのメッセンジャーナース)による電話・オンライン・来所・訪問のいずれかの方法でサービスを受けたい方(別途規定費が必要)
  • B会員:(助けが必要になったときは)介護保険のサービスも利用するが、「介護予防看護特化チーム」のメンバー(最寄りのメッセンジャーナース)とはつながっていたい方(別途規定費が必要)

「ロゴ会員」になるための条件となる「介護予防看護特化チーム」が規定している「極力自力の趣旨」は、次の5項目です。

  1. 私は、どんな状況に置かれても、「極力自力」で動こうする意欲は持ち続けます。
  2. 私は、辛くなったときや困ったときは助けを求めますが、「極力自力」の意志は貫きます。
  3. 私は、自分が納得する生活を続けられるように、自分の言動を振り返りながら、お互い様の気持ちを持ち続けます。
  4. 私は、(メッセンジャーナースをはじめとする)他者のアドバイスを受け止め、自分で毎日続けられる心身体操を自分で編み出し実践し、どんな状況に置かれても、(極力自力の意志を)持ち続けます。
  5. 私は、自分のペースで、自分の力で無理なく暮らしながら、メッセンジャーナースの全国"懸け橋ネット”の動きを見守ります。

引用元:「ロゴ会員申込書」より

加齢に伴う心身の衰えに
適切な支援でブレーキを

ご承知のように私たちの国には、病気により、あるいは加齢に伴い介護や支援が必要になった方は社会全体で支えていこうとの趣旨で誕生した、公的な介護保険制度があります。

65歳以上の方の場合、原因を問わず「要支援」や「要介護」、つまり日常生活に何らかの支援や介護が必要な状態になったときは、「要支援・要介護認定」でその必要性が認められると、介護保険サービスを利用することができます。

しかし、厚生労働省の2024年度の調査によれば、「要介護」あるいは「要支援」認定者の約1割が、介護あるいは支援が必要な状態にあるとして認定されているにもかかわらず、介護保険サービスをまったく利用していないとのこと。

その理由は、「福祉の世話にはなりたくないから」「他人に自分の弱さを見せたくないから」「他人を家に上げたくないから」「家族が介護してくれるから」「他人様の手を煩わせることはしたくないから」など、さまざまです。

極力自力の生き方で健康長寿に

しかし、たとえば「フレイル」という言葉があるように、誰でも歳を長く重ねれば、否応なく体力も気力も少しずつ衰えていくものです。ところが、そこに「極力自力」の意志があれば、必要な時期に適切な支援を受けることで、その衰えにブレーキをかけ、健康長寿といわれるような自分らしい生を全うすることもそう難しいことではないようです。

紹介した全国のメッセンジャーナースによる「介護予防懸け橋ネット”極力自力”」の取り組みに関心を持たれた方は、電話(03-5386-2427)、あるいはメール(yoridokoro@e-nurse.ne.jp)で「極力自力のロゴ会員の件で」と、問い合わせてみてください。