薬で困ったら「かかりつけ薬剤師」に相談を

多剤併用

「かかりつけ薬剤師」制度が
2016年からスタートしています

どんな薬にも、効果があれば副作用もあります。
また、高齢になってくると、今日は内科、明日は眼科、明後日は……、といった具合に複数の診療科を次々と受診してその都度薬の処方を受け、結果として何種類もの薬を同時に服用するといったことになりがちです。

このように薬の種類が増えてくると、一部の薬を飲み忘れたり、見た目がよく似ている薬を取り違えてしまったり、あるいは薬が多すぎるからと自己判断で薬を間引いてしまうといったトラブルを招くことにもなりがちです。

なかでも深刻なのは、複数の薬を同時に服用した際に起こる相互作用です。
薬の効果が強く出すぎたり、逆に薬同士がお互いの効能を消し合って、薬本来の効果が期待できなくなってしまうといった、薬の飲み合わせリスクが発生する懸念もあります。

(薬の飲み合わせリスクに関して詳しく知りたい方は『薬の飲み合わせリスクに気をつけて!!』を参考にしてみてください)。

このような、処方された薬の内容やその飲み方について不安があるとき、あるいは薬に伴うトラブルが起きたときなどは、仮に夜間であってもいつでも「かかりつけ薬剤師」に相談できるしくみがあることをご存知でしょうか。

75歳以上の約半数が
7種類以上の薬の処方を受けている

ちょっと気になるデータがあります。
厚生労働省が2018(平成30)年6月に公表した「2017年社会医療診療行為別統計の概況」をによると、75歳以上に限ってみると、院外処方で24.5%、院内処方でも20.5%が7種類以上の薬剤の処方を受けているというのです。

ちなみにこの統計は、医療保険制度下における診療や調剤行為の内容、薬剤の使用状況などを調査するもので、毎年継続して行われています。

75歳以上のおよそ4分の1に当たる人が、同時に7種類以上の薬の処方を受けているとは、少々驚きの数字です。多種類の薬の服用により、副作用とみられるふらつきや転倒、認知機能の低下といった深刻な症状がみられることも報告されています。

このような事態が起こるのを防ぎ、患者が服用、あるいは使用する薬剤のすべてについて、安全かつ効果的な薬物治療ができるようにしようと、2016(平成28)年4月から「かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局」制度がスタートしていています。
このうち「かかりつけ薬剤師」の活躍には、とりわけ大きな期待が寄せられています。

かかりつけ薬剤師を持つメリット

かかりつけ薬剤師を決めておき、自分が服用する薬の管理を託しておけば、複数の診療科を受診して、それぞれの診療科から薬の処方を受けた場合でも、間を置かず相互作用をチェックしてもらえますから、飲み合わせリスクを確実に防ぐことができます。

また、かかりつけ薬剤師はあなたの薬の服用・使用履歴を、「お薬手帳」や「電子お薬手帳」を活用してきちんと管理してくれます。

どのような薬にアレルギーがあるのか、過去に同じタイプの薬を服用しているが効き目はどうだったのか、といったことも履歴からきちんと把握したうえで、薬の効果や副作用について継続して確認し、必要なアドバイスをしてくれます。

在宅療養をしている場合は、かかりつけ医や歯科医の指示があれば、あなたや家族の同意を得たうえで、自宅に出向いて必要な指導をしてもらうこともできます。
その際には、医師による処方薬を届けてもらうこともできます。

また、服薬状況のチェックや飲み残している薬を把握して、かかりつけ医にその情報を提供し、処方内容の確認・提案もくれますから、薬を減らせる可能性も出てきます。

かかりつけ薬剤師を決めておけば
24時間いつでも相談できる

かかりつけ薬剤師をもっていれば、薬に関する相談には、薬局の時間外はもちろん、夜間も含め24時間いつでも、直接あるいは電話などでも対応してもらえますから、安心して在宅療養を続けることができます。

慢性疾患で定期的に通院して処方薬を受け取っているという方は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて一気に普及が進むオンライン診療を利用するうえで、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師の存在は重要になってきています。
詳しくはこちらの記事を読んでみてください。

慢性疾患で定期的にかかりつけ医の診療を受け、定時処方を受けている人には、この時期、新型コロナウイルスの感染リスクの高い医療機関に出掛けて行くのは不安だろう。この際、出掛ける必要のないオンライン診療、オンライン服薬指導を活用してみてはどうか。その方法をまとめた。

患者サイドにとっては、なんともありがたいシステムなのですが、薬剤師なら誰にでも「かかりつけ薬剤師」になってもらえるわけではありません。

かかりつけ薬剤師になるには以下の条件をクリアする必要があります。
ハードルはやや高く、この条件を満たしているのは残念ながら薬剤師全体の半数にとどまっています。

  1. 薬剤師として、薬局での勤務経験が3年以上あり、なおかつ同じ薬局に週32時間以上勤務し、その薬局に1年以上在籍している(育児・介護休業法の規定に基づく短時間勤務の場合には、週24時間以上かつ週4日以上でも可)
  2. 認定薬剤師の有資格者である
  3. 地域の公的な医療・健康イベントなどに参加している

かかりつけ薬剤師と同意書を交わしておく

かかりつけ薬剤師をもちたいというときは、かかりつけ薬局に出向いてその旨相談すれば、すぐにもかかりつけ薬剤師を紹介してくれます。

紹介された薬剤師を、専任に担当してもらうかかりつけ薬剤師に指名することに決め、「お願いします」ということになれば、薬局から「同意書」にサインを求められます。

この同意書の様式については、2018年度の診療報酬改定において、「かかりつけ薬剤師に希望すること」など、患者自身が要望を記載する欄を新設することが決められ、かかりつけ薬剤師にこれまで以上に丁寧な説明と指導が求められています。

この同意書については、各薬局でそれぞれオリジナルなものを用意しています。
同意書に記載する内容を確認してから同意書を交わしたいという方もいるでしょう。その際は、その旨気軽に申し出て見せてもらうようにしてください。

かかりつけ薬剤師を指名することで発生する費用は、従来の「薬剤服用管理料」(処方箋1回につき500円)に代わるかたちで「かかりつけ薬剤師指導料」として、処方箋1回につき200円アップの700円、3割負担の場合で210円の自己負担となります。

なお、薬に関しては、食事や飲み物との食べ合わせが悪いと、薬効が低減したり、逆に効きすぎることがあります。この点について詳しく知りたい方は『薬と食事の食べ合わせにも注意が必要です』を参考にしてみてください。

とりわけ降圧薬を服用中の方は、こちらの記事に是非目を通しておいてください。

薬と食べ物や飲み物には相性の問題がある。特に高齢者の多くが服用している降圧薬のカルシウム拮抗薬には、グレープフルーツ(ジュース)と同時に摂ると、血圧が下がりすぎるタイプのものがある。処方を受ける際には、その点を確認しておくことをお忘れなく。