老化の元凶として注目の
糖化物質「AGE」
「薬局で本当の年齢を測ってくれるらしいから、行ってみない?」
友人からいきなりそう誘われたときは、とっさにからかわれているのだと思いました。
本当の年齢なんて……、別に私、年齢を詐称しているわけでもないし、などと考えを巡らせていて、ハタとひらめいたことがあります。
おそらく彼女は、AGEのことを言っているのだろうと――。
AGE(エージーイー)とは、Advanced Glycation Endprodactsのこと。
アメリカの学者が名付け親です。
「たんぱく質」と「糖」が加熱されて結びついた物質のことで、日本語では「終末糖化物質」、あるいは「老化たんぱく」とも呼ばれています。
体内でAGEが生成されたり、食品や飲み物に含まれているAGEが食事などで体内に取り込まれ、血管や骨、筋肉、皮膚組織などにも焦げ付いたような状態でたまっていくと、老化現象を促進してしまうという、まさに老化の元凶ともいうべき物質です。
AGEの体内蓄積状態から
老化の進行度を知る
自分の体内にAGEがどの程度蓄積しているのか、気になるところです。
AGEの体内蓄積レベルは血液から調べる方法もありますが、測定器が開発されていて、簡単に自分のAGE値を知ることができるようになっています。
機器にはいくつかタイプがあるようですが、光を当てると発光するというAGEの特性を活用して測定するメカニズムは同じです。
たとえば指先を測定器に挿入すると、搭載されている「AGEセンサー」が皮膚に蓄積されたAGEが発する光の強弱を読み取ります。
それを解析して、AGEの体内蓄積レベル、つまり「糖化度」を算出し、スコアとして示してくれるという仕組みです。
このスコアから自分の本当の体内年齢、「true age(ツル― エイジ)」がわかるというわけです。実年齢よりマイナスと出るかプラスと出るか、気になるところです。
採血による痛みを伴うこともなく、3分もあれば結果が得られます。
簡単ですから、自分の老化の進行度を知ることができる指標として、一度測定してみてはいかがでしょうか。
AGE値の測定は
街の薬局・ドラッグストアでも
では、一体どこで測定できるのかという話になります。
冒頭の会話にもあるように、最近ではこのAGE測定器を店頭に置いている薬局が目につくようになりました。
院外処方箋を取り扱っている調剤薬局、それも大手チェーン店が多いようですが、一度最寄りの薬局で尋ねてみてはいかがでしょう。
気になる測定に要する料金ですが、無料のところもあれば有料(1回税抜きで1,000円ほど)のところもあります。
また、糖尿病の診療科がある医療機関でもこの測定器を置いているところが多いようです。
それと、地域差はありますが、自治体レベルで開催するイベントなどで、
毎月10日を「糖化の日」と定め、
AGE値の測定を無料、あるいは割安で実施しているところもあると聞きます。
AGEを増やさない食生活には
刺身やサラダなど生ものを
すでに体内に蓄積されて老化現象を早めているAGEを、完全かつ確実に取り除く方法については、残念ながらまだ研究段階です。
ただ、個人レベルでは、この先さらにAGEをため込まないために、毎日の食事を中心に着実に実践できることがあります。
AGEは、たんぱく質と糖が「加熱され、くっついて」できる物質ですから、生野菜や刺身、冷奴など、加熱調理をせずに生(なま)のまま食べることができる食品は、AGEの含有量が少ない食品です。
一方で、刺身や冷奴と同じたんぱく質の多い食材、たとえば肉類、魚類、卵類、乳製品だけでも、調理段階で加熱すればするほど、食品中のAGEはどんどん増えていきます。
具体的にAGEの含有量を調理別にみてみると、最も増えるのは揚げ物です。
AGEは揚げ物より焼き物、焼き物よりレンジ加熱、レンジで加熱より蒸し物か煮物で少なく、最も少ないのは野菜や果物、魚などの生鮮食品を生のまま、といったところです。
揚げ物が大好きでやめられないという方は、AGEを減らす効果が期待できるレモンや酢などのクエン酸を軽くかけて食べるようにするといいようです。
豚肉や牛肉はしゃぶしゃぶにする、あるいは食物繊維の豊富なきのこ類と一緒に摂ることによりAGEの排泄を促すなど、AGEを増やさない工夫はいろいろあります。
この点については、AGEの研究では世界的権威として注目されている山岸昌一医師(久留米大学糖尿病性血管合併症病態・治療学講座教授)がこちらの本で、詳細かつ具体的に紹介されていますので、ぜひ参考に!!